経団連が推進する「カーボンニュートラル行動計画」の2024年度フォローアップ調査結果がまとまりました。日本ホテル協会会員ホテルにおけるエネルギー消費量は昨年度に引き続き、2030年度までの目標値を達成しています。

2024年度エネルギー消費原単位指数 進捗率118%に
日本ホテル協会では地球温暖化対策の取り組みとして、経団連が推進する「カーボンニュートラル行動計画」に参画し、そのフォローアップ調査として年1回、会員ホテルにおけるエネルギー使用状況調査を行っています。
日本ホテル協会として設定している目標は、2010年度のエネルギー消費原単位を指標として、国内の事業活動によるCO₂排出量を2030年度までに15%削減することです。
2024年度のエネルギー使用状況調査の結果、会員ホテル108軒(有効回答数)におけるフォローアップ実績は、2010年度比で17.7%の削減、2030年度目標に対する進捗率は118%に到達しました。
エネルギー消費原単位指数(下図)は、LED 照明の導入など省エネへの取り組みが継続して行われたことから、2010年度以降、順調に改善しています。2020年度にはコロナ禍で客室稼働率が大きく減少したため悪化しましたが、2021年度からは客室稼働率の復調に伴って再び改善し、2024年度は前年から横ばいでした。


温対法調整後排出係数に基づく実CO₂排出量(下図)は、2013 年度以降減少傾向にあります。2024年度は前年度比0.6%減の40.2万t-CO₂であり、2010年度比で7.3%減、2013年度比では28.2%の減少となりました。

会員ホテルで進む省エネの取り組み。投資額も大幅増加
2024年度の取り組み実績としては、照明設備、空調熱源設備、給湯熱源設備、空気搬送設備、ポンプ・ファン設備の更新を中心に、消費エネルギーを削減する会員ホテルが多く見られました。このうち最も多かったのは照明設備の更新で、客室、宴会場、ロビー、バックヤード、廊下などでLED照明の導入が進んでいます。次いで空調熱源設備、空気搬送設備、ポンプ・ファン設備、給湯熱源設備への投資となっています。
2024年度の投資総額は71億8180万円で、2023年度の16億6438万円から大幅に増加。年度当たりのエネルギー削減量は原油換算935klの見込みです。
2025年度も拡大へ。LED照明などの設備更新が中心
会員ホテルにおける2025年度以降の省エネ投資予定額は、合計で139億8826万円であり、期待される年度当たりのエネルギー削減量は原油換算739klとなっています。引き続き照明設備への投資を中心に取り組みが進むことが予想され、宴会場など規模の大きな場所や館内各所でLED照明に更新する計画も見られます。
(2025 10/11/12 Vol. 753)