
枕とガーゼパジャマ。スタッフも納得の「快眠アイテム」
今年で2年目となる東京プリンスホテルの快眠プラン「やさしい快眠サポートステイ」は、当初ミドルからシニア世代をメインターゲットとして開発された。健康志向が高く、活動的で経済力もある、いわゆる「アクティブエイジ」の人たちに、ホテルでゆっくりとリフレッシュしていただこうという発想だ。
「ところが、1年間やってみたところ、意外にも記念日需要がけっこうありました。年代的にも、20代から80代まで、想定した以上に幅広い世代のお客様に喜んでいただいていることがわかりました」と、セールス&マーケティング部の秋本涼音さん。
プランの監修に当たったのは、快眠セラピストで睡眠環境プランナーでもある三橋美穂氏。自分たちの思いこみや聞きかじりの知識で企画を動かすのではなく、専門家の話をしっかり聞いて勉強しながら、快眠に役立つアイテムを取り入れた宿泊プランを開発していった。
プランに導入する快眠アイテムも、実際にスタッフが試してみて、効果に納得できたものを厳選。それがこのプランに対する自信につながった。そうしたアイテムの一つが、例えば「枕」だ。人は睡眠中に20回くらい寝返りをするが、スムーズな寝返りには、頭部をしっかり支えてくれる枕が重要となる。
人の頭に触れただけで、その人に合った枕がわかるという三橋氏に、秋本さん自身が見てもらったところ、使っていた枕が高すぎて、首に負担がかかっていることがわかり、低い枕に替えたという。こうしてスタッフ自身が枕の大切さをよく理解したうえで、快眠プランでは、独自構造で頭を支える高弾性ウレタンを使用した枕を採用した。
パジャマについても思い入れがある。自然のメカニズムとして、入眠には身体の深部体温が下がる必要があり、そのとき私たちは知らず知らず汗をかく。そこで吸水性がよくて蒸れにくい、草木染めのガーゼパジャマを用意した。
ホテルの客室に用意されているガウンやナイトウェアは、一般的には持ち帰り不可だ。東京プリンスホテルでも同じだが、このプランでは特別に、ガーゼパジャマを持ち帰ることができる。「ぜひご自宅でも着ていただきたいです。ガーゼは肌触りがよくて、洗うほど柔らかくなるので、私もすっかり気に入ってしまいました」(秋本さん)。


マッサージ機と東京タワーの夜景が、最高の眠りを誘う
快眠にはリラクゼーションも欠かせない。「やさしい快眠サポートステイ」では身体のメンテナンスとリラクゼーションのために、2種類のマッサージ機を客室に用意している。一つは、椅子に腰かけたり、ベッドに横になったり、好きな姿勢で全身をほぐせるシートタイプのマッサージ機。血行がよくなると、ベッドに入ったときに深部体温が下がりやすくなり、入眠しやすくなるとのこと。もう一つは、温めながら目の周辺をほぐしてくれる、アイケア専用のマッサージャー。これも目を酷使している現代人には、うれしいアイテムだ。
ほかにも良質な睡眠をサポートしてくれるサプリメントや、三橋氏の著書『オトナ女子の不調と疲れに効く 眠りにいいこと100』が快眠プランに含まれており、どちらも持ち帰りが可能だ。プランに書籍を加えたのは、「よい睡眠のためには、正しい知識を持つことも重要」だという考えから。予約時に頼めば、同じ著者による『眠りのさじ加減65歳からのやさしい睡眠法』を選ぶこともできる。




「このプランを通じて、睡眠について知らなかったことを、私たちもたくさん学ぶことができました。三橋先生はよく、『眠りは1日にしてならず』とおっしゃいますが、本プランのご利用をきっかけに、質のよい睡眠について意識される方が増えたらうれしく思います」
そう語る秋本さんによると、起きたら朝日を浴び、朝食もしっかりとって1日のリズムを整える、ベッドに入るタイミングで深部体温が下がるよう、夜はバスタブに浸って温まるといったことも、日常の快眠対策として有効だそう。
「やさしい快眠サポートステイ」では、東京タワー側の客室が確約されている。遮るものもなく、すぐ目の前にそびえる東京タワーは、東京プリンスホテルならではの眺望。誕生日や結婚記念日に快眠プランを予約して、東京タワーの夜景を窓から眺めつつ、カップルや夫婦で心と体のリフレッシュを──。そんな利用シーンも、今後ますます広がりそうだ。

取材・文/田中洋子
(2025 10/11/12 Vol. 753)
東京プリンスホテル(公式サイト)
https://www.princehotels.co.jp/tokyo/