
モバイルバッテリーの発火事故に注意
2025年、京都市内のホテルで、客室に持ち込まれたモバイルバッテリーが原因とみられる火災が相次いで発生しました。いずれも、充電中のモバイルバッテリーから出火した可能性が高いとされ、宿泊客が一時避難する事態に。幸い、大きな被害はなかったものの、宿泊施設におけるモバイルバッテリー火災のリスクをあらためて浮き彫りにする出来事となりました。
スマートフォンやタブレットの普及により、モバイルバッテリーは多くのお客様が携行する身近な製品となっています。消防庁によると、モバイルバッテリーによる火災は、令和4年122件、令和5年182件、令和6年290件と右肩上がりに推移しています。
モバイルバッテリーに使用されているリチウムイオン電池は、強い衝撃や圧力が加わるとセパレータが破損し、プラス極とマイナス極がつながって(ショート)、異常発熱が起こり、発火することがあります。また、高温下では内部の化学反応が異常に進んでしまい、電池の発熱を制御できなくなることも起こります。このようなことから、一般に、リチウムイオン電池は強い衝撃、圧力や熱に弱いという特性を有しています。
消費者庁や消防庁は、リチウムイオン電池の使用に関して、次のような注意を呼びかけています。
- 強い衝撃や圧力をかけないようにしましょう。
- 高温になる場所では使用・保管しないようにしましょう。
- 充電は、安全な場所で、なるべく起きている時に行いましょう。
- 異常を感じたら使用を中止しましょう。
- 発火した時はまず安全を確保し、できれば大量の水で消火しましょう。
- 製品情報、リコール情報を確認しましょう。
- 公共交通機関では、持ち込みルールを守りましょう。
ホテルの客室は、カーテンや寝具、カーペットなど可燃性の高い備品が多く、就寝時や外出時など、人の目が届かない時間帯も少なくありません。ひとたび火災が発生すれば、お客様の安全確保に直結する重大な事案となります。日本ホテル協会では、外出などで客室を不在にする際にモバイルバッテリーの充電を控えること、直接日光の当たる窓際やシーツなど可燃物の上での充電を控えることなど、お客様向けのモデル注意喚起文を会員ホテルに提供しています。さらに、ベッドサイドなどに置いてお客様に注意を促すためのマグネットシートを制作しました。
モバイルバッテリー火災を「想定外」の事故ととらえるのではなく、現実のリスクとして受け止め、お客様への周知を図っていくことが必要です。さらに詳しい情報は消費者庁のプレスリリースをご覧ください。


客室内でのモバイルバッテリーの使用に関する注意喚起文のモデル(日本語版・英語版)。

(2026.02 Vol.754)