日本ホテル協会の取り組み

ホテルの廃食用油で空を飛ぶ!
「Fry to Fly Project」が進展中

世界地図の上に置かれたスーツケースと旅客機の模型、「FRY to FLY Project」のロゴ。

カーボンニュートラル実現に向けてホテルも貢献

廃食用油などを原料として持続可能な航空燃料「SAF」を製造し、脱炭素社会の実現に貢献するプロジェクト「Fry to Fly Project」に参画する宿泊関連業者が増えている。日本ホテル協会もその一つ。Fry to Fly Project事務局によれば、2026年1月末現在、ホテルなど宿泊業に関連する29の事業所・組織がこの活動に参加しているとのこと。うち日本ホテル協会の会員ホテル会社は9社が名を連ねており、一層の参画が期待されている。

SAF(サフ:Sustainable Aviation Fuel)とは、廃食用油をはじめ、サトウキビなどのバイオマス燃料、都市ゴミ、廃プラスチックなどから作られる「持続可能な航空燃料」のこと。原油を原料とする従来のジェット燃料に比べ、CO₂の排出量をおよそ80%削減できるとされる。その需要は世界的に拡大する見通しであり、EUでは2025年よりSAFの供給義務化が始動。世界経済フォーラムでは2021年、世界の航空業界で使用される燃料のうち、SAFの割合を2030年までに10%に増加させることを宣言。日本政府も足並みをそろえ、2030年までに国内で同じ目標を達成することを目指し、産業界や家庭への協力を呼びかけている。

●世界におけるSAF需要の見通し

「世界におけるSAF需要の見通し」を示した棒グラフ。縦軸に「万KL」、横軸に年(2025・2030・2035・2040・2045・2050)をとっており、数値は2025年800、2030年2,300、2035年9,000、2040年22,900、2045年34,600、2050年44,900と、年を追うごとに大幅に増加していく推移を示している。
出典:IATA Net zero 2050: sustainable aviation fuelsをもとに、Fry to Fly Project事務局が作成

Fry to Fly Project事務局によると、国内で発生する廃食用油は現在、年間約50万トンであり、このうち家庭系が10万トン、事業系が40万トンである。家庭の廃食用油の約9割は廃棄されているとみられ、回収された事業系のそれも10万トン以上が海外に輸出されているという。SAFの製造には大量の廃食用油が必要であり、その確保のために立ち上がったのがFry to Fly Projectである。宴会場やレストランを有するホテルの厨房では、毎日大量の廃食用油が発生している。プロジェクトに参画してこれをSAFに生かし、カーボンニュートラル実現に協力することは、ホテル業の社会的責任ともいえるのである。事務局を務める日揮ホールディングスの植村文香さんは次のように話している。

「ぜひ各ホテル様におけるサステナビリティの取り組みとして、プロジェクトへの参画をご検討いただければと思います。検討の途中でもかまいませんので、ご質問などがあれば事務局(frytofly@jgc.com)までお気軽にご連絡ください」

「えっ!使用済油で空を飛ぶ!?」という大きな文字とともに、エビフライを飛行機に見立て、ミニチュアの作業員や車両が周囲で作業するビジュアル。下部には「今、世界で話題の!持続可能な次世代航空燃料 SAFを製造」「FRY to FLY Project」のロゴ、「飲食店・ホテル・イベント・家庭などから出た使用済み油を回収!→環境に優しいバイオ燃料SAFにリサイクルします!」という説明文が配置され、使用済み食用油を航空燃料に再生する取り組みをユーモラスに表現している。

なお、日揮ホールディングス、コスモ石油、レボインターナショナルの3社は2022年、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY(サファイアスカイエナジー)を設立。日本発のSAFサプライチェーン構築に向けて事業化を進め、2025年に国内で唯一、廃食用油を原料としたSAF製造を開始した。国内の主な国際空港でSAF供給開始イベントを開催するなど、活動を活発化させている。

●Fry to Fly Project参加組織

(日本ホテル協会関連)

株式会社雲仙観光ホテル
株式会社京王プラザホテル
株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド
株式会社帝国ホテル
株式会社阪急阪神ホテルズ
藤田観光株式会社
ホテルオークラ京都
三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社
森トラスト株式会社

※2026年1月末現在

(2026.02 Vol.754)