ホテルが発信する着地型観光コンテンツ

街の個性をホテルの魅力に
遊び心から生まれる新しい滞在体験

アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば

夜のホテル玄関。外壁に「ANCHORED by RIHGA」、黒い案内板に「ANCHORED by RIHGA OSAKA NAMBA」と光る文字が掲げられている。

謎解きで街を巡り、地域の魅力を再発見

2026年4月、大阪の情熱とエネルギーが交差するなんば・新世界エリアに誕生したアンカード・バイ・リーガ 大阪なんば。リーガロイヤルホテルズが新たに立ち上げたブランド「アンカード・バイ・リーガ」は、地域に深く根ざし、その土地の歴史や文化に「錨をおろす(アンカード)」という思いから生まれた。その姿勢を体現する取り組みの一つが、謎解きをしながら街の魅力を体感できるキット付きの宿泊プランだ。

「PLAYFUL OSAKA MYSTERY WALK」と名付けられた謎解きキットは、大阪ならではのユニークな看板やモニュメントなどに隠されたヒントを手がかりに、謎を解きながら街を巡る周遊型のゲーム。ホテルを起点に街へ繰り出し、エネルギッシュな新世界の魅力に出合える仕掛けとなっている。

「キットの名前にもなっている『PLAYFUL OSAKA』は、当ホテルのコンセプトでもあります。記憶に残る『PLAYFUL』な滞在をお届けしたいという思いから生まれました。謎解きキットも、普段なら通り過ぎてしまうような街並みに目を向けることで、『こんなに面白いものがあるんだ』という新たな発見につながり、旅の思い出をより豊かなものにしてくれると考えています」

そう語るのは、総支配人の宮脇健輔さんだ。当初、社内ではこの企画について、慎重な声が上がったという。しかし、販売開始から5カ月でおよそ450組が利用。宿泊プランでの提供に加え、キット単体でも販売し、日本語版だけでなく英語版も展開するなどインバウンド客にも楽しみの輪が広がっている。

謎解きには、街並みだけでなく、たこ焼きや串カツといった地元のソウルフードが登場する。ゲームを進めるうちに、飲食店にも足を運びたくなる仕掛けを取り入れているのは、地域での消費につなげたいという意図がある。

「この謎解きを実現したいと考えたのは、街の魅力を多くの方に知っていただき、街の活性化につなげたいという願いがあったからです。飲食店をはじめさまざまなスポットに立ち寄っていただくことで、地域での消費が広がることを期待しています」

企画の実現に向けて、宮脇さんは地域の組合などを訪ね、地元の方々の紹介を通じてネットワークを広げていった。

「この土地で長く商売を営んでこられた大先輩の方々ばかりでしたので、まずは『街のことを教えていただく』という姿勢でお伺いしました。ときには、1時間、2時間と、じっくりこの街の歴史を語ってくださる方もいらっしゃって、街への理解が深まると同時に、地域の方々との距離も縮まっていきました。こうして築くことができたつながりは、かけがえのない財産になっています」

謎解きキット「PLAYFUL OSAKA MYSTERY WALK」の表紙。通天閣やビリケン像、たこ焼き、串カツなど大阪の街と名物が色鮮やかに描かれたものが散りばめられ、左上に「リアル謎解きゲーム」と記されている。
街の風景や名物をヒントに、楽しみながら地域の魅力を再発見できる体験型ゲーム

ホテルを起点に広がる地域観光の可能性

地域に根ざした取り組みは、謎解きだけにとどまらない。街の魅力を発信するツールとして、オリジナルマップ「PLAYFUL MAP」も制作した。絵本作家のイヌイマサノリ氏による温かみのあるイラストとともに、地元ならではの情報を紹介している。街歩きの楽しみを広げる、ここでしか手に入らない特別な地図だ。

左側には「あんかーど」「まいどおおきに」「ANCHORED」「KOTE KOTE」などの文字入りステッカー。右側には「PLAYFUL MAP」と「PLAYFUL OSAKA MYSTERY WALK」と書かれた、イラスト入りの冊子が並ぶ。
街の見どころや個性的なスポットをイラストで紹介する「PLAYFUL MAP」(右から2番目)。左のステッカーは館内のカプセルトイで手に入る。

地域とのつながりは、ホテル館内の空間デザインにも表れている。新世界エリアを歩くなかで、街の至るところで目にする個性的な看板やミューラル(壁画)が印象に残っていたという宮脇さん。新しいホテルのオープンにあたり、こうした地域ならではの魅力を内装にも生かせないかと考えた。そこで実現したのが、関西ゆかりのアーティストとのコラボレーションだ。

正面玄関を彩るのは、壁画アーティストのBAKIBAKI氏が葛飾北斎の屏風絵をアレンジした作品。大浴場には、鈴木ひょっとこ氏が歌川広重の浮世絵「難波名所図会」をモチーフに、現代の大阪を描いた作品が広がる。さらに、なんば・心斎橋エリアを象徴するネオンと、古くからこの地で親しまれてきた今宮戎神社の十日戎を融合させたネオンアートも、ゲストの目を楽しませている。

「伝統に根ざした文化や歴史を現代風に解釈し、アートとして表現していただく。歴史あるリーガロイヤルホテルズのDNAを受け継ぐホテルとして、この土地ならではのストーリーが息づく作品をお願いしました」

ホテルのロビー。受付カウンターの左右の壁に、緑や黄色、赤を使った大きな鳳凰の壁画が広がる。
長いテーブルを挟んで椅子が並び、奥にはカウンター席が設けられたレストラン。カウンターの背後には酒瓶やグラスが並び、提灯形の色鮮やかなネオンアートが光っている。

葛飾北斎の「鳳凰図屏風」をモチーフとした壁画が広がるロビー(左)。レストランは夜になるとネオンアートが輝くパブへと姿を変える(右)。アート作品の随所に日本の縁起物を取り入れ、お客様の幸せを願う思いも込められている。

葛飾北斎の「鳳凰図屏風」をモチーフとした壁画が広がるロビー(上)。レストランは夜になるとネオンアートが輝くパブへと姿を変える(下)。アート作品の随所に日本の縁起物を取り入れ、お客様の幸せを願う思いも込められている。

木目調の客室に大きなベッドが置かれ、ベッドの後ろの壁一面に、赤いもみじの葉や鳥などを描いた淡い色の壁画が広がる。
客室には木村英輝氏による壁画アートを配し、日本の伝統美を感じさせる落ち着いた空間に。
石張りの大浴場。二つの浴槽の奥の壁には、橋や建物、人々を描いた横長の色鮮やかなタイル画がある。
大浴場には、浮世絵をモチーフにしたタイルアートが広がる。

宮脇さんが考えるホテルの役割は、旅行者が旅の疲れを癒やし、街を楽しむための「観光の拠点」であることだ。ただ泊まるだけではなく、そのホテルを選んだことをきっかけに、街をもっと好きになってもらえたらと考えている。

「ゲストが街の魅力に触れ、新しい発見に出合える場所でありたい。そこに、地域観光におけるホテルの価値があると考えています」

ホテルの周辺には、サブカルチャーの聖地として知られるオタロードや、日本最古の官寺である四天王寺、大阪の台所と呼ばれる黒門市場など、着地型観光のコンテンツにつながる魅力的なスポットが数多くある。「街のおかげで私たちのホテルもある」と語る宮脇さん。地域への恩返しの思いを胸に、さらに魅力的なプランを考えていきたいと意気込む。これからも、街と人をつなぐ架け橋として、ホテルならではの視点で地域の魅力を発信し続けていく。

取材・文/編集部
(2026.10 Vol. 758)

アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば(公式サイト)
https://www.rihga.co.jp/anchored-osaka-namba